亜細亜大学 茂木教授に聞く飲食業界7のこと。<後編>


普段はお客さんとして飲食店を利用するけど、飲食業界のことは全然知らない!

業界に対してのギモンを亜細亜大学の茂木教授に答えてもらいました!


④数々の飲食店を見てきた茂木教授が、プライベートで飲食店に行く時にお店を選ぶ基準はなんですか?

 たしかによく「教授はグルメですか?」と聞かれますね。それへの答えは「普通です」。面白い答えではありませんね(笑)。でもグルメといってもA級からC級までありますよ。研究者としては、あえて言えば「C級グルメ」に格付けされますかしら。「A級グルメ」とは本格グルメのことで、ミシュランとかの世界。「B級グルメ」は「B1グランプリ」のように町場の大衆メニュー愛好のこと。それで「C級」とは、チェーンレストランの「C」を指します。チェーンレストランのメニューを侮ってはいけません。消費者嗜好の標準と新規メニューのトレンドが窺えるからです。

 ともかく、何が言いたいかというと、自動車産業の研究者に「運転が上手ですか?」「どこへのドライブがお勧めですか?」「車は何が趣味ですか?」と聞かれても仕方がないと思いませんか。

 とまあ、それはそれとして、お勧めというならば、居心地のよい店だということになるでしょうね。で、その場合に、学生たちと行く場合と、仕事関係の人たちと行く場合とでは、当然居心地の良さの加減が変わってきます。ということは、その店の特徴がわりとはっきりしていて分かり易い店が良いということになります。同じ客層が集っていて、雰囲気が馴染むからです。

 それから懐具合を気にしながら食事をするというのは、あまり賢明なことではないと思います。ですから、やや高額のお店に行くとしたらはじめから予算を想定します。逆に低額のお店なら内容の割キリをします。どこに行ってもそのお店の雰囲気に浸ればよいのではないでしょうか。

 気を付けなくてはならないのはSNSですね。僕はスマートフォンを持っていませんし、SNSに頼ることはしませんが、SNS情報を鵜呑みにしている学生は多く見かけます。ネット情報にはフェイク情報が混在していることと心得ておくべきでしょう。

【撮影協力】SUZU CAFE -ginza-/東京都中央区銀座2-6-5銀座トレシャス6F/03-6228-6090/11:00~ 24:00


⑤飲食業界の未来について、どのようにお考えですか?

 まあ、難しい問題です(笑)。未来は大きく変わります。とにかく世の中が大きく変わりつつあります。大袈裟でも何でもなく、今は人類史の大転換期です。皆さんはその時代の目撃者ですね。AI(人工知能)とロボットの普及が世の中を変えつつあります。今、その入口に入りました。

今あるいろいろな職業がこれから30年で消えていくという話が広まっています。あるいは、今ある仕事の8割は無くなるだろうともいわれています。言い方や数値の大小はともかくとして、大きな変化が生じつつあることは実感できるでしょう。

そうした変化から見たらずいぶんと小さな変化かもしれませんが、例えば、回転すし店は、ロボットが寿司を握り、お客様がタッチパネルで注文し、会計も皿数でほぼ自動、だからオートマチックレストランになりつつあるとも言えますね。居酒屋では、タッチパネルでの注文が普及してきていますので、お客様にご注文をお伺いするという接客サービスの基本のところが省かれたりしています。予約もネットやスマホアプリが増えつつあります。ある日に気が付くと接客サービスのスタンダードが別のところに移動していることもありえましょう。

 別の見立てでは、例えばインスタグラムの普及で店装やメニュープレゼンテーションが変わりつつありますね。いわゆるインスタ映えが優先されて新しいメニューやサービスがどんどん開発されています。東京・原宿のカワイイモンスターカフェはその象徴とも言えるのではないでしょうか。実際に、そのようなとんでもないカラフルなメニューが外国人にも大人気になって評判を呼んだりしていますから、飲食産業の新しい需要開発と市場開拓が行われているということになります。そういう意味では東京・新宿ロボットレストランも挙げておかなければならないでしょう。

 VR(バーチャルリアリティ)も実用化されつつあり、高齢者や体の不自由な方が海外旅行を楽しむような商品が生まれています。街場のレストランで、VRを使って世界の観光地に出かけ、リアル食事としては、機内食や海外の現地のレストランの食事を楽しむという商品です。月旅行と宇宙食の旅も、実用段階でしょう。VRをタイムマシンに見立てたタイムトラベラーと古代食の旅も企画中かもしれません。世界遺産の旅だって深海レストランだって、なんでも可能です。が、その商品の決め手は、それに付随するリアル料理とサービスの再現力と企画力ということになります 。

 つまりAIやロボットの普及は、一方で既存の飲食業界に大きな影響をもたらすと同時に、新しいビジネスの可能性を広げていくと考えられます。人が食事をする存在である以上、より楽しく、より心が豊かになるような飲食ビジネスが発展していくのではないでしょうか。皆様の取り組み次第だともいえますが。


⑥ズバリ、茂木教授がこれからくると思う外食産業のトレンドとは何ですか?

 トレンドを1年先でみるか、10年先で見るか、30年先で見るかで、見える景色が違うと思います。が、社会の変化とあわせて、どのような飲食ビジネスが登場するかということを考えてみます。

 子ども食堂と未来食堂についてお話ししたいと思います。

 子ども食堂とは、10年くらい前から取り組みが始められ、次第に各地に拡散して、ここ1~2年にマスコミでも取り上げられるようになったボランティア活動のことです。当初は貧困家庭の学童児童や孤食を余儀なくされている子供たちを見かねて近隣の人たちが食材などを持ち寄り、一般住宅を食堂に開放したり、街場の飲食店が協力したりして、子供たちに無料の食事と寄り合いの場所を提供するという活動です。子供たちだけでなく思春期の若者や塾通い出来ない生徒なども集うことで、勉強を教えあったりすることもあり、地域のコミュニケーションの核となるものもあるようです。

 未来食堂は、2015年(平成27)9月に東京・神田(千代田区一ツ橋)に開業したカウンター12席だけの小さな定食屋です。一人で食堂を経営するというビジネスモデルですが、自然発生的に多くの人たちが寄り合いコミュニケーションを厚くしていくという流れを生んでいます。メニューは日替わり定食1種類のみで900円ですが、お金の持ち合わせがない人は、50分間の手伝いをします。また50分間の手伝いをした人は1食分のチケットを得られますが、このチケットは他人に譲ることができます。入り口横にはそのチケットが張られていて誰でも使用できます。地方から出てきて就活している学生やいわゆるネットカフェ難民は助かりますね。

 こうした手法で黒字経営を続けその経理内容をネットで公開しています。誰でもどこでも真似をしてくださいという意味です。

 このような今までにはない新しいビジネスモデルが飲食業界ではいろいろと出てくるのではないでしょうか。なぜなら、地域社会にとって飲食業という存在は無くてはならないインフラストラクチャーですから、いろいろな方が地域と関わろうとするときには、まず飲食業を有効なホームベースとしようと考えるからです。子ども食堂も未来食堂も、地域のコミニュティレストランだと呼んでいいでしょう。

 また、AIやロボットが普及すると、人々には時間のゆとりが増えていきます。そういう人たちが増えると、芸術や音楽、演劇、スポーツなど知的な営みが盛んになっていきます。そうしますと、人々はミーティングに託けて、レストランや居酒屋などによく集うことになりますね。そこに集うチームの方々が自分たちでコミニュティレストランの経営に乗り出すというのも面白いでしょう。

 こうした、今の時代だからこそ発想することのできる様々なタイプのコミニュティレストランが有力なトレンドとなるのではないでしょうか。


⑦最後に飲食業界を目指す学生たちにメッセージをください!

 10年後、世の中は相当に変化しているでしょうね。そして皆さんはこの時代の変化の担い手として社会に出ていきます。だから、社会の変化に“好奇心”をもって挑んで欲しいと思います。この10年でいろいろな体験をして、その体験で得たこと、感じたことを深めていってください。これまで述べてきたように飲食業界には様々な可能性が潜んでいます。皆さんの想像力でその可能性をたくさん呼び出してくださることを願っています。

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