どんな仕事に就くかは人それぞれだけど、仲間と競い合えたり、
チャレンジできるフィールドがあるって、すごく大切なこと。
飲食業界にも技術やスキルを磨き、発表できる場所がたくさんある。
優勝して流す嬉し涙。負けて流す悔し涙もあるけど、
どちらも自分の将来にとって大きな糧になる。いつまでも「CHALLENGERS」
緊迫感溢れる「RED U-35」の決勝戦を密着ルポしました。
448名の若手料理人がスターシェフの座を競う
新時代の若き才能を発掘する料理人コンペティション「RED U-35」は今年で5年目。「夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人(クリエイター)を見いだすためのコンペ」で、料理人のコンペディションとしては日本最大級となる。
共催としてぐるなびがバックアップし、ヤマサ・キユーピー・JAL・アサヒビールをはじめとした20社以上もの大手企業の協賛のもと、日本の食業界の総力を挙げて開催されてきた。毎年、このステージから新たなスター料理人が誕生している。
応募資格は偉大なる料理人を目指す「35歳未満の料理人」であること。
RED EGG(グランプリ)の賞金は、なんと破格の500万円。受賞者本人に300万円、所属する店舗にも200万円が贈呈される。こうしたコンクールへの参加には働いている店の協力やサポートが不可欠になるが、店側への配慮もあることから参加しやすいのも特徴の1つだ。
第5回大会には全国41都道府県、海外ではアジア、ヨーロッパを中心に12ヶ国から総勢448名がエントリーした。
選考は一次の書類審査からスタート。映像審査、学園祭審査、最終審査まで計4回、約6ヶ月をかけてとり行われる。
一次では、自己PRとともに「糖」をテーマにしたレシピを提案。料理人としての基礎・レシピ考案力が問われる。二次では、「私と、信頼する生産者とのつながり」をテーマに自身で映像にまとめる。独自の視点や伝達力が要求される。
三次では、学園祭審査を大会史上初の一般公開で実施。武蔵野調理師専門学校をジャックして、学園祭に見立てた会場で各自が「旬のアミューズ」の模擬店を運営する。料理だけではなく、お客様へのサービスなど総合的な技術力を判定。最終審査と2日連続という異例の大会進行により、その場で最後のステージに臨むファイナリスト・GOLD EGGが選ばれた。
緊張の一瞬。RED EGG(グランプリ)が決まる
去る11月6日、2017年の若手料理人ナンバー1を決定する最終審査がいよいよ始まった。国内外448名の中から頂点に輝くのはいったい誰なのかーー会場の盛り上がりと緊張感が一気に高まっていく。
学園祭審査をクリアして、最終ステージに辿りついたGOLD EGGは5名。フランス料理、イタリア料理、日本料理を専門とするキャリアや肩書き、年齢もさまざまな挑戦者が集結した。
なお、今年度より審査員団を一新。新たに審査員長に就任した「Wakiya一笑美茶樓」オーナーシェフ 脇屋友詞氏をはじめ、イタリアンの巨匠 落合務氏、世界的有名パティシエ 鎧塚俊彦氏、ソムリエの田崎真也氏など料理界の重鎮の他、作曲家 千住明氏など、そうそうたる顔ぶれが揃った。料理の技術や知識はもちろん、若き料理人のパーソナリティや将来性までをも審査ポイントとして厳正にジャッジする。
最終審査の流れは、前日にテーマとなる「塩」が発表され、全員で熊本県・天草の塩の生産者と対面。いろいろな質問をすることで、塩にかける情熱やヒントを引き出した。そこからテーマに向き合い、一夜のうちに一品料理のレシピを考案。朝、築地市場に出向いて食材を調達し、各自、決戦の場となる厨房へ向かう。
その後、別室で待ち受ける審査員団をお客様として、スペシャリテ(看板料理)を提供。実食と面談による審査が行われる。まずは、コンセプトや料理にかける想いをプレゼンテーション。試食と共に各審査員からは、挑戦者たちのパーソナリティや将来性までをも探る鋭い質問が次々と投げかけられた。
そして、ついに発表された5代目グランプリ受賞者・RED EGGは赤井顕治さん。生産者の想いや生産地である天草の風景を思い描きながら、簡素さの中にある美しさや大切さを料理で表現。「私たち~生きるということ」と題した渾身の一皿を創りあげた。
審査員長の脇屋友詞氏は、その授賞理由を次のように語る。
「このグランプリは料理の美味しさだけじゃない。料理人自身の人間性や料理への情熱、そういったすべてを評価するものです。彼が優勝した一番の要因は、常に謙虚にお客様に向き合う姿勢にあります。大会を通じて一貫して、それを感じられたのが赤井さんでした」
今年の最終審査のテーマは「塩」。前日に熊本県の天草の塩の生産者と対面し、食材にかける情熱をヒアリングしている。その後、一夜で塩を用いた料理を考案。朝の築地で食材を調達し、創りあげたスペシャリテで審査員団をもてなしてプレゼンテーションする。生産者の想いを汲みながら繊細かつ緻密に一皿を組み立て創りあげた赤井さんの料理は「私たち~生きるということ」。審査員から鋭い質問が投げかけられるが、赤井さんは謙虚な姿勢で受け答え、料理にかける想いを熱くアピールした。
34歳のチャレンジで見事栄冠を勝ち取った赤井さんは「今年が最後ということで勝ち負けを意識せずに、自分自身との戦いとしてここまでやってきました。生みの苦しみもありましたが、最後まであきらめず、常に120%の力でできたのがこの結果につながって、すごくうれしく思います」と喜びのコメント。新時代のスターシェフとして、ますますの活躍が期待される。今回の受賞は、赤井さんの料理人生にとって最良の分岐点となったにちがいない。
赤井 顕治(34)RED U-35 2017 グランプリ
レッドエッグ株式会社 テイクアンドギヴ・ニーズ
「アーククラブ迎賓館 (広島)」Kenji Akai広島県出身、地元広島の「アーククラブ迎賓館(株式会社 テイクアンドギヴ・ニーズ」(フランス料理)で料理人を務める。自らの料理スタイルを「構築」と掲げる通り、生産者の想いを汲みながら繊細かつ緻密に一皿を組み立て創りあげ、34歳の最後のチャレンジで栄冠を勝ち取った。
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