10年後の飲食業界を語ろう ~vol.8「人事」株式会社DDホールディングス グループ人材開発室長 向山幸代氏

エフラボ2020では、大胆にも10年後の未来を予想!

「料理」「テクノロジー」「カルチャー」「トレンド」「サービス」「都市開発」「グローバル」「人事」「外交」、各ジャンルで活躍するスペシャリストに登場いただき、この9つの分野からの視点で、10年後の飲食業界を見つめてみます。

食という仕事に興味がある方、どのような分野で働きたいか迷っている方にはぜひ、彼らのインタビューを読むことをお勧めします。きっと飲食業界の将来性とポテンシャルの高さを感じてもらえるはずですよ。


ダイバーシティに力を入れる会社がきっとこれからどんどん増え続ける
そして、男女とも働きやすい環境に


株式会社 DDホールディングス 執行役員
グループ人材開発室長 向山幸代氏

気づいたら、飲食の世界で
人と関わる喜びを得ていた


「料理が好きなので本当はキッチン志望だったのに、飲食店の面接に行くといつも『君は接客向きだね』と言われていました」


と話す向山氏は、現在、個性あふれる飲食店を次々に展開しているDDホールディングスの執行役員となり、グループの人材開発を任される立場で日々、忙しく業務に追われている。

社交的な性格が手伝ってか、アルバイト時代はいつもホール担当だった向山氏だが、その経験がプラスに働いたと話は続く。



「調理をやりたいという願いは叶えられませんでしたが、接客を経験したおかげで、お客様の喜びを直接見ることができる飲食の世界に早い段階で魅力を感じられました。それに〝食〟は人が生きていく中で欠かせないものなので興味も深かったですね」




いつか何かの責任者になりたいという夢があった向山氏は大学で経営を学び、就職活動をしていく中でひとつの信念が見えてきた。



「人にプラスな影響を与えたい……それこそが私の信念でした。そこから改めて飲食の世界に強い魅力を感じて1社目となる『大庄』に就職しました」



入社して2年目で約700店舗のアルバイト採用の管理をするようになっていた向山氏は、さらなる成長のために実力主義を全面にだす『三光マーケティングフーズ』に転職し、ここでも約5年働き、人事の腕を磨く。



「人事の仕事を通して、お客様であれ、スタッフであれ、人と関わる仕事はやはり素晴らしいと感じましたし、自分に向いていると実感しました」



そして2011年、彼女にとって3社目となるDDホールディングスで働くことになる。




人材開発室の責任者として
ダイバーシティに取り組む


現在、グループ人材開発室をまかされている向山氏は、女性の活用をはじめとするダイバーシティにも力を入れている。



「女性活躍推進をダイバーシティの一環として本格的にはじめたのは2016年から。結婚していても、妊娠していても、子供がいても、また、介護すべき人がいても、ライフワークバランスが実現できるように、できる限り会社が応援するという制度です」



彼女自身、もうすぐ2歳になる子供がいて、その制度の有効性を率先して後輩たちに見せていると言う。



「ダイバーシティの制度があっても、分かりやすいガイドラインがないと働く人は不安になりますよね。だから私たちは分かりやすいガイドラインと顔が見える相談窓口をつくり、何かあればすぐに相談できる体制をとっています。そして私を含め、制度の実績として見本になる人間をたくさんつくっていけるようフォローしています。また、これらのフォローは女性だけにではなく、男性にもきちんとするべきことだと思っています。何事も公平であるべきですからね。今はまず会社全体で少数派を応援しましょうということで、女性や障がい者の方、そして外国籍の方の活躍推進をプッシュしているところです」



さらに、飲食業界全体におけるダイバーシティの動きについて、こう続けた。


「人材不足がこれからもっとハードになる世の中で、女性が活躍し続けられる環境づくりをしなければ、会社自体が生き残れないと思います。男性だけを採用するのも現実的には厳しいですし、男女公平に採用するという世の中の流れもありますから。あとは、外国籍の方の雇用も受け入れる体制にしていかなくてはいけません。文化や言語が違うから受け入れられない……という考えは捨てるべきでしょうね。彼らは主体性が強く、異国の地で生き抜くために必死でがんばっているので、そんな姿が会社にとっていい刺激になると思います。女性や外国籍の方のがんばりが会社のプラス、ひいては飲食業界全体のプラスにつながれば……と強く願っています




10年後に思うこと、
そして10年後に目指すこと


現在、人事の立場で数多くの学生に会い、面接をしている向山氏に今の学生について思うことを話してもらうと……。


「面接では、学生が本当にこの会社でがんばっていきたい気持ちがあるのか、そして私たちが彼らの夢をちゃんと応援してあげられるのかを考えながら、時間をかけて話をさせていただいています。その中で思うことは、最近の学生……なんて言い方をしてはいけないかもしれませんが、彼らは協調性重視で、主体性が少し弱いように感じられます。当社では内定がでてからの1年間の研修に力を入れていて、主体性をふくめ、社会人に必要な力を楽しみながら学ぶシステムで、じっくりと教えていきます。そのため最初は協調性重視の人材も、どんどん自分をだしていけるようになるのです」




 では、会社の3分の1を占めるという女性についてはどう考えているのか……。


「女性の強みは、母性本能。それはお客様に対してはもちろん、一緒に働く仲間に対しても。飲食の世界に気づかいは必要ですし、スタッフ同士の関係性がよくないと、お店の空気も悪くなります。女性が持つ母性本能はすごく強みになります。また、責任感が強いというのもひとつの長所だと思います




 だからこそ、女性が働く環境を整えることは飲食業界全体の大きな課題になっているのかもしれない。結婚、妊娠をするとその後の仕事はどうなってしまうのか……は、女性ならば考えざるを得ない問題なのだ。もちろん向山氏自身、産休をとったときに少しの不安が頭をよぎったという。



「会社に戻れるかどうかの不安というよりは、子供ができると働く時間が限られてしまう。その中で今までと同じパフォーマンスができるのか……という不安でした。しかし代表の松村の〝仕事も人生も楽しく〟という考えや「遊びの中に仕事があり、仕事の中に遊びがある」という言葉でその不安は打ち消され、こうすれば両立できるのではないかという前向きな意識変更ができ、仕事と家庭を両立する楽しさを知ったのです。これから働く人たちにもそれを伝えていきたいですね」




 まさに人事のスペシャリスト。そう呼ばずにはいられない向山氏が考える10年後の飲食業界について、最後に語ってもらった。


「これから先、仕事と家庭、仕事とプライベートなど、ライフワークバランスをとりたいと思う女性が業界的にも増えると思います。だからこそ、役職のない若い世代も結婚や妊娠をしたとなったときに「この会社で続けていけるのかな……?」という不安がないようにしなくてはいけないと考えています。せっかくたくさんの会社がある中からひとつの会社を選んでくれたのだから、会社としても働く人の生活を応援していくのは当たり前……という空気づくりをよりしていきたいですね。また、同業他社でもライフワークバランスに関する課題があるということで、改善相談を受けることも多くあります。飲食業界全体でダイバーシティの考えや取り組みが広がれば、より働きやすく魅力的な業界として、飲食という仕事を選択する人材も増えると思いますし、増えてほしいとも思いますので、できるだけ親身に、また課題を解決できるようアドバイスをさせていただいています」




10年後の飲食業界では、DDホールディングスのようにダイバーシティを推進する会社は増えていき、男女関係なく、どんな状況であれ働きやすい環境になっていく。そんな未来が彼女の話から見えた。


YUKIYO MUKOYAMA

1980年生まれ、東京都出身。立教大学の経済学部で経営を学び、飲食の世界に魅力を感じる。卒業後は「大庄」に入社して約3年半、その後「三光マーケティングフーズ」で約5年、いずれも人事担当として経験を積む。2011年現在の「DDホールディングス」に転職。一児の母となった今も、グループ人材開発室長として手腕をふるう。

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