「外食チェーン店への就職は、就活生にとってメリットが大きい。」この事実を知っていましたか?外食チェーンの実態・将来性や得られるスキルなど、その魅力に迫るため、外食産業やマーケティングに詳しい茂木教授にお話を伺ってきました。
2回目は、外食チェーン企業で身につくキャリアについてです◎
茂木信太郎
亜細亜大学 経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科 教授、博士(観光学)
※2019年3月当時
チェーン店に就職することで身に付くキャリアについて具体的に教えてください。
●研修制度で学べること
チェーン店で身につく具体的なキャリア(能力)を二つ説明しましょう。
一つは、店舗運営のノウハウです。前項で述べましたように、店舗運営は会社経営と相似形でありその雛型といえます。そして、チェーン店にはこの店舗運営のための教育研修制度が整っているということが指摘できます。チェーンでは、レストラン店舗の運営を実現するための様々な要素が分かりやすく伝えられ学習できるように様々な教材が作成されていて、それを修得するための研修制度が設けられ実施されています。
店舗運営のための教育研修制度での基本は、共通に「QSC」です。「Q」はクオリティ、「S」はサービス、「C」はクレンリネスの略記です。「QSC」は、フードサービス店舗運営で最も重要なことです。これをしっかり学ぶことは、たとえば将来に起業して独立する場合にも、他の企業や他の産業に移ってキャリアを磨いていこうとする場合にも、修得しておくべき必須の能力となるものです。
●本社勤務で得られる幅広いスキルとは?
第二は、これも前項で述べておりますが、チェーン店はお店以外にも多くの重要な仕事があるので、そのためのキャリア形成も必要とされ用意されています。
たとえば、メニュー開発を思い浮かべてみましょう。チェーン企業には新メニューの開発のためにその食材を全国あるいは全世界から調達するための専門スタッフチームがおります。日々全国の産地や市場や漁港などを巡って食材を発掘しており、新鮮な食材やおいしさを損なわない輸送の仕方など他では学べないノウハウを身に付けていきます。
あるいは、お店を新たに作るための立地開発とよばれる部署では、立地調査をしたり不動産物件を探索したり法規に詳しい専門スタッフチームが活躍しています。商店街探索の技術や周辺住民のニーズ調査など、一般の人から見たらちょっとマニアックなノウハウも必要です。
もちろん、人事労務管理、教育研修制度も常に改良していかなければなりませんし、お店のレジシステムには今やITの先端技術が埋め込まれなければなりませんし、顧客分析やマーケティングも必須です。
という次第で、チェーン店を運営するためにはたくさんの専門スタッフがいて、外からはうかがい知れない様々なノウハウがあるのです。こうした部署へ配属されることで目指されるキャリア形成も面白いと思いませんか。
vol.3に続きます!(vol.1はコチラ)
Shintaro Mogi
食品需給研究センター、外食産業総合調査研究センター(外食総研)、フードシステム総合研究所を経て信州大学経済学部、信州大学経営大学院にて、「経営学」「マーケティング」「地域マネジメント論」などを講義。文部科学省海外研究員としてアメリカ・イタリアで研究。立教大学、女子栄養大学、松本大学、にて非常勤講師、2009年より現職、「フードサービスマネジメント論」「ホスピタリティ・マネジメント特別講義」など担当。なら食と農魅力創造国際大学校、法政大学大学院、川村女子学園大学目白観光文化研究所研究主幹兼務。著書『フードサービスの教科書』(2017年、創成社)、『食の社会史』(2019年、創成社)など多数。
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